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| ★ スリガオはこうして開拓された ★ | ||||||
| 『ジキルとハイド』の顔を持つスリガオの海。 レンズを通して見るマリンライフは巨大ビルを横倒しにしたような 豪快な地形、九龍塔のように重なり合うサンゴ達、驚くばかりの大自然の 中で水中調査は進められた。 |
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| マングローブが生い茂る中に水路が迷路のように続く中、水路の幅が次第に広くなっていく。さらに向かうと、やがて海が開けてくる。まるで映画のシーンのようなロケーションだ。 ミンダナオ島の玄関、スリガオはミンダナオの最北部に位置しサーフィンでも有名なところで、ポイントはスリガオから約30分。この秘境の極楽地を発見したのはフィリピン政府環境庁のスタッフ。調査依頼を受け約3ヵ月半かけて調査を行った。その目的は環境保護。自然保護区域に指定する予定だそうだ。 調査初日、現地に到着すると何やら海が騒がしい。よく見ると海がしぶきと音を立てて渦を巻いていた。さらに驚いたことに、ひざ下の浅瀬でも川の上流のように潮の流れが強い。この驚愕と恐怖からスリガオの調査はスタートした。 このポイントの周辺には小さな島やマングローブの水路がたくさんあるので、変則な強い潮が入り込んでいるらしい。とりあえず島に上陸し、潮がおさまるのを待つことにした。1時間位待つと満潮になったらしく潮もおさまってきたようで、先ほどの渦が嘘のように消え、ベタナギの温和な海へと『ジキルとハイド』のごとく表情を変えた。 水深1m位の浅瀬から、いきなり大ぶりの様々なサンゴが一面にびっしりと生い茂り、まったく手つかずのサンゴ達はまるで香港の九龍塔のように重なり合いながら、日射をあびてきらびやかに輝いている。そこから下がって7m位のところにはエダサンゴのコーラウェーブが待っていた。スミスズメダイの巨大な群れの中をレインボーランナーの群集が往来している。透明度は思わしくないが、これはマングローブから流れてくる海の栄養分が多い為で、それゆえサンゴがすばらしいのだ。 さらにドロップオフを下りて深く潜ってみると、今度は強大なビルを横倒しにしたような豪快な地形が待ち構えていた。さらに、3m近いコブブダイやトビエイの群れが回っている。しばし見とれてしまった。物凄いポイントだ。 調査中トビエイは80%の確率で見ることが出来た。その他にもここの生物層の豊かさには驚くほどだ。特にスズメダイやチョウチョウウオの種類は多く、海をいっそうカラフルに演じている。ただし潮の流れが常に強く、しかも変則的に流れているので撮影はかなりハードだった。 残念なことに9月頃から水温が水深20mでも30度以上に上昇し、世界中で起きているサンゴの白化現象がスリガオでも始まり、11月に入ると20%近くのサンゴが白化されてしまっていた。しかし、その他Ph値、溶存酸素量、アルカリ度、大腸菌量検査などの検査では、いずれも問題は発見されなかった。 『サンゴの白化問題』については、今年の9月にフランスで行われた『国際サンゴ学会』でも取り上げられた世界的現象で、南西インド洋/アフリカ大陸南東においてサンゴ礁の大規模な白化に継ぐ大量死がおきている、という事だった。 ただ、スリガオの『サンゴ白化』は、現在白化してはいるもののセブ島周辺ほどは被害はなく、死んでいるものは少なかったようだ。 私はフィリピンに住み着いてかれこれ15年。あちこちの海を潜ったが、ここのサンゴのすごさには圧倒された。『フィリピンも奥が深い』と、あらためて感じさせられた。 政府の意向では、このポイントを『環境保護区域』に指定しサンゴや生物を保護し、後々は観光資源にしていきたいとのことであった。自然と人間が共存していくという点では私も依存は無いが、観光客がたくさん訪れるようになったら、あのサンゴ達はどうなってしまうのだろう。『手つかず』の海が『お手つき』だらけにならないと良いが・・・ 2000年夏号 The Philippine Diver magazineより |
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